世間一般では、良い大学に入って、就職活動を頑張って、良い会社に入る。
このようなレールが構築されていて、実際僕の友人の多くはこの道を進んでいましたし、小中高の同級生、大学の同期の大半は今、自分が所属している会社で日々頑張っています。
僕は自分が納得しているのであれば、この通りの人生を歩んでも何も問題ないと思っています。この先日本では年功序列制が解体され、終身雇用されない時代となっていくと言われていますし、また大きな会社であっても倒産の危機に瀕したり、リストラの危険性を払拭できるわけではありません。
しかしそれを理由に安直に起業をオススメするのは極めて軽率な考えだと考えています。どう考えても創業初期の方がハードですし、キャッシュフローの流れが悪く、キャッシュが尽きてしまったらそれで終了です。
根本的に「安定」という概念は、どの世界に飛び立っても存在しないものだと僕は思っているのですが、それでも客観的な事実として起業の方が「失敗」する可能性は高いでしょう。
それでも僕は学生起業を選びました。
僕が慶應義塾大学に入学したのが20歳の時です。二浪しているので、大学に入った時には既に成人だったわけですが、大学に入った時から、どこかの企業に就職するとか、大手企業に入りたいとかそういうことを考えたことは、大学に入ってから今日までの5年間で一回もありませんでした。
そんな僕がなぜ学生起業という道を選んだのか、ここでお話していきましょう。
Contents
かつての自分
僕も最初から起業を考えていたわけではありません。
起業を考えるようになったのはそれなりの背景があります。
小学校時代
今思えば、起業の直接的なきっかけとなったのはこの時代だったのかなと思います。
当時、小学校5年生くらいだったと思うのですが、このくらいの時期から一緒に遊べる友達の数が減ってきていました。
というのも、僕の地元は中学受験を志す子が非常に多くて、これまではよく一緒に遊んでいた友達も、塾に通わないといけないという理由で、なかなか遊べなくなりました。
元々成績はそこそこ良い方だったので、僕も友達から、「鴨井は中学受験しないの?」ってよく聞かれました。
親が中学受験反対の人だったので(今思えば、少なくとも僕にとってはこれは正解でした。)、中学受験をするという選択肢は取らなかったわけですが、それでもあまりにも多くの人が塾に通うので、僕もお試しでとある大手の塾に通ってみたわけです。
ごく普通の授業を展開する塾ですが、どうも僕にはあまり馴染めなかったのを鮮明に覚えています。
何が原因だったのかはいまいちよくわからないんですが、とにかく全然合わないな、という気持ちが残っていました。
そして案の定、塾に通ってから体調を崩しました。
漠然と既存の塾は何か違うな。自分だったら、こういう塾にするのにな。
そう思い始めたのが僕の起業の最初のステップだったのだと今ならはっきりと断言できます。
中学・高校時代
話は進んで、中学と高校は生徒会を経験しました。
中学は任期1年で、選挙で会長・副会長・書記などを選ぶごく一般的な生徒会でしたが、高校時代は「生徒会執行部」という部活でした。
というのも高校の規模が非常に大きくて、当時は3学年合計で2000人いたので、一般的な生徒会の規模だと対処が困難だからという理由だったかと思います。
そのような中で中学・高校時代は色々な仕事を経験させてもらいました。
そしてどちらの時代でも校則を変えるために、授業が終わってからはひたすら仕事に励んでいたことは今振り返ってみたら非常に懐かしい思い出ですね。学生時代から何をやっているんだという話なのですがw
結果、中学時代は生徒会に関する規定を、そして高校時代は学校に携帯を持ち込んでもいい(当時の高校は学校に携帯を持ち込むのが禁止されていました。)というルールを新たに作りました。
特に後者はなかなか大きいことを達成できたな、と今でも感じます。
そんな中学・高校時代を経験していたので、若い時から人より多くの仕事をこなしてきたという経験と、それなりに結果も残せたという自負が、今の僕を突き動かしているのかもしれません。
浪人時代
さて僕は2年間に渡って浪人生活を送ることになります。
高校時代も成績は良い方でしたが、高校3年生の時に体調を崩したんですよね。アトピー持ちで、薬の選択を誤ったのが原因だったわけですが、それにより高校3年生の時はほぼ勉強できず、何なら出席日数がかなりギリギリな状態で高校を卒業することになりました。
受かった大学もあったんですが、この状況で大学に進むわけにはいかないという理由で浪人することになりました。
浪人時代のことはまた別の機会に詳細に書きたいと思っているのですが、少なくとも言えることは僕の浪人生活は本当にうまくいかないことだらけでした。
そのような厳しい状況の中、毎日毎日必死に生きる中で習得したものがあります。それは受験の知識であったり、メンタル面のあり方であったり、多種多様です。
この時くらいですかね?明確に「起業しよう」と思ったのは。
無事に最後は慶應義塾大学に合格することができたので、そちらに進学することに決め、即座に行動することに決めました。
大学時代
2年間ずっと一人での生活を余儀なくされていましたから、大学に入ってからは楽しくて仕方なかったです。
一方でこれまではやりたいことを我慢する生活だったので、やりたいことをそのまま実行していくという、行動に移すということに関しては全く抵抗がなかったです。そのため大学に入学してからすぐに色々な行動に着手していきました。
僕が学生のうちに起業しようと思った背景は以上のようになります。
このように考え、感じたので、僕は起業に踏み切ったのですが、そもそも若いうちに起業することや学生起業には大きなメリットがあります。以下の記事を読んでみてください。
学生起業で意識しないといけないこと
さて実際に大学に入ってからすぐに行動に移すことになったわけですが、僕は以下のことを常に意識しながら行動してきました。
どんなに遅くとも就活の前までには安定した収入を得ること
まず最初に実施したことはデッドラインを設けることでした。
どんな優秀な人間でもやはり楽をしたがります。
適当に行動するだけではいつの間にか楽な方に、楽な方に流されていってしまうでしょう。
そんな中、僕は誰かから指示を受けながら仕事をするのではなく、自分でサービスを作り上げたかったということ、自分の力を試したかったことなどから、就活だけは何があっても絶対にしないと決めていました。(就活を否定しているわけではありません。自分を行動に移すために、自分から制限をかけていたという感じです。)
就活が本格化するのが3年生の後半くらいですから、サークルを引退する頃には会社に頼らなくても生きていけるだけの収入が必要だと思い、それに従って逆算しながら行動していきました。
実際、サークルを引退する頃には、最低限一人で暮らしていけるだけの収入はあったので、この判断は間違ってなかったと思っています。(一方で目標設定が低すぎて、少し遠まわりしてしまった感もありますが)
大学入学当初は、「起業したい」とか「ビジネスに興味がある」みたいな声は各方面から聞こえてきます。
実際周囲の人も最初は僕のことをそのような人の中の一人、いわゆる意識高い系だと思っていたはずです。
しかしそのような人たちは3年生くらいにもなれば大半が淘汰されていきます。
僕からしたらそれは当然です。
理由は明白で、
覚悟がないから
です。
覚悟がないから、少し困難な状況になると逃げ出してしまう。
また覚悟がないから、自分の行なっている仕事に対して責任も生まれません。
責任のない人に誰が仕事をお願いするでしょうか?
学生が毛嫌いされる理由の最も大きな部分はここでしょうね。だから僕もよくいるような意識高い大学生は正直あまり好きじゃないです。
圧倒的な量をこなす
特に創業初期は時間があってもあっても足りません。
資金もない。人もいない。資産もない。人にお見せできるサービスもない。
この全てを一気に自分でやらないといけないわけです。
創業初期の圧倒的なリソース不足を解消するには、やっぱり大学生の身分が一番良いのは間違いないでしょう。
拘束される時間が少ない、社会的に認められた地位で活動することができるなど、色々なメリットがあります。
特に僕は大学1年生の時は大学とサークルの時間以外(まあ大学も正直大して通ってないんですが)はひたすら自分の仕事に時間をつぎ込んでいたと思います。
さすがに初期の段階では人を雇える金銭的余裕もなかったですから、本当に全て自分の手でやりました。
- Twitterを毎日稼働させ、受験生と連絡を取り、毎日平均5件のペースでSkype
- ブログを更新し、認知度を高めていく
- 正規の生徒の指導
- 今後使っていくための小テストやテキスト作成
- 税金関係の処理
などなど。
今思えば随分非効率なやり方だなと思う部分も多々あるわけですが、でもこのスタンスは正しかったと思っています。
特に毎日多くの高校生とやり取りしたことは非常に大きかったです。
これだけ多くの高校生や受験生と接していれば、彼らがどのようなサービスを欲していて、何をすれば喜んでくれるのかが感覚レベルで分かるようになります。
サービスの構築にあたって、この感覚は非常に重要になります。常に顧客や見込み客と接していれば、独りよがりなサービスを作ってしまう可能性が激減するからです。
実績を得る
大学生は起業するには最適な身分だ、とはよく言われる話ですが、一方で僕の場合は特に信用が鍵を握る業種での起業だったので、最初に着手したことはキャッシュを得る前に「実績を得る」ことでした。
初年度はありとあらゆる手段で高校生を指導していき、自分のコミュニティを確立させました。
その中で特に優秀な子は大学の合格実績や、成績の伸びた証拠を提示してくれます。これがあったから、2年目からの活動が非常に容易になりました。
もちろん目先のキャッシュを得ることも重要ですし、キャッシュがないと倒産してしまいますが、当時は僕一人の状況で、一人暮らししているわけでもない、固定費がかかるわけでもないという状況だったので、今後の仕事がやりやすくなることはなんだ?と考え、それを実行することが優先でした。
またこの過程の中で、実際に大人や組織相手に十分戦っていけるという自信にも繋がるようになりました。
他ではあり得ないような成績の伸びをする子がいたり、誰よりも僕のことを慕ってくれる子も出てきて、この通りやっていけば大丈夫だという確信に繋がったわけです。
以上をまとめると、学生(学生に限らず、他の人にもある程度当てはまりますが)が起業する上で特に意識しないといけないことは以下の通りです。
- デッドラインを設けること。
→同時に覚悟と責任を持つこと。金銭を頂く以上、覚悟と責任は必須。 - 圧倒的な量をこなすこと。
→それによって見えてくる事がこの先の財産となる。 - 結果を出し、実績を積むこと。
→結果を出し、実績を積むことで道が拓けていく。
まとめ
今回はあくまでも僕自身の体験をベースにした記事だったわけですが、いかがだったでしょうか?
起業したい、自分でビジネスをしたいという人は非常に多いと思います。
しかし特に初期は本当に割に合わないことが多いです。
時給換算なんかしたら目も当てられないくらいの数値だったと思います。
それでも僕が手を止めなかったのは、これが将来発展するための投資だと割り切れていたことと、仕事に対して熱い情熱があったからだと思っています。
何度も言いますが、起業は簡単じゃないです。「楽に稼げる」みたいなワードが流行っている時代ですが、そのくらいの気持ちだとしたら、それは副業レベルで留めておくべきです。
しかしそれを超えて、全力を注いだ時に、得られる対価(お金もそうですが、それ以外もあります。)はやっぱり他では置き換えることができないものだと思います。
あらゆるリソースを自分の事業に注ぎ込み、そこで結果を出し、その後事業をまわし続けることは、特に経験した人にしか分からない苦労があります。そして同様に経験した人にしか分からない喜びもあります。
人生を懸けて挑戦したい、こういうサービスを作り提供したい、そういう気持ちが少しでもある人にとって、起業はとても良い選択肢になるかもしれないですね。その気持ちがあれば、あなたが世界をより良くすることができるかもしれないわけですから。
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