大学受験

2017年度入試における私立大学の合格者数減少と今後の対策

はじめに

現在この記事を執筆しているのが、2017年の5月1日です。

1ヶ月半前に東大と京大の合格発表が終わり、共に慶早進学塾から合格者を輩出することができ、歓喜に湧いていたことを思い出すことができるわけなのですが、そこからしばらくバタバタしていて、やっとこうした記事を書くことができる時間を見つけることができました。

もう少し早く着手したかったんですけどね。
2017年度の入試はここ数年には例にないくらい厳しい入試となったのではないでしょうか?

その辺りのお話を書いていければと思います。

慶早進学塾の合格実績

大学受験の学習塾である以上、毎年一定の合格実績を残さないといけないと考えています。

そのため慶早進学塾では毎年正確な合格実績を掲載しているのですが、2017年度の主要な合格実績は以下のようなものとなります。

【国公立大学】
東京大学1名
京都大学1名
東京工業大学1名
横浜国立大学1名
岐阜大学1名
山形大学1名

【私立大学】
慶應義塾大学3名(理工学部×2名、商学部×1名)
早稲田大学4名(創造理工学部×1名、政治経済学部×2名、法学部×1名、商学部×1名、政経と商は一人で2個合格。)
上智大学×1名

これ以降に関しては以下のリンク先からご確認ください。

 

慶早進学塾2017年度合格実績

 
慶早進学塾を創設して2年目(岐阜校に関しては初年度)ですが、早くも東大、京大の合格者を輩出することができました。

また東工大の合格者も出す事ができましたので、特に上位層に関してはこれ以上言うことはないほど良い結果だったのではないかと思います。
一方で私立大学に着目してみましょう。

慶應は3名、早稲田は4名の合格が生まれ、早慶合計では6名(一人早慶ダブル合格です)という合格数となっています。

この結果も昨年を上回る結果ではありますが、個人的にはこの結果は不本意な結果だと思っているのです。
そこで今年特に「私立大学」の受験で何が起こっていたのか、ご存知の方も多いとは思いますが、改めてここで触れてみましょう。

私立大学の合格者数減少に関して

今年はどこの塾・予備校もこの事実に苦しんだ受験となったはずです。

以下の表をご確認ください。

http://www.toshin.com/jisseki/
より引用。

これは東進のサイトからの引用ですが、これを見ると早慶を始め、MARCHや関関同立どこを取っても大幅に合格者数が削減されています。
大学にもよりますが、1割程度合格者数が削減されているわけです。

1割というとこれってなかなかえげつない話だと思うんですよ。

どの大学もおそらく合格、不合格のボーダー上に、多くの人が密集しているはずですから、合格者数が1割減少するということはその分だけボーダーが上がるということになります。

ボーダーが上昇したら、これまで当落線上にいた人は全員不合格となりますから、そう考えると全体的に1ランク難易度が上がったと考えることが自然なのです。

合格者数減少の背景

ではなぜ私立大学の合格者数が減少することになったのか。

受験に詳しい方なら既にご存知の方も多いとは思いますが、以下のような背景にあるようです。

文部科学省は来年度から定員を上回る学生を入学させているマンモス私立大学に対して、補助金の交付額を削減することを決めた。
具体的には、定員数8000人以上の大規模私大の場合、定員の1割を上回る学生を入学させると、大学の補助金を全額カットするというものだ。従来は2割以上であっただけに、基準が大きく引き下げられることになる。来年度から段階的に引き下げられ、2018年度には1割ルールを適用するという。

『受験生に悲報…有名私大、約3千人の合格者削減?より狭き門に』
http://biz-journal.jp/2015/08/post_11038.html
より引用。

 

要するに、文部科学省が、毎年定員を超えて入学者数を受け入れる大学に対して、補助金をカットすることにより、それを制限しようとしたものだ、ということです。

当然この内容を受けて、大学側は補助金が大幅にカットされると困りますから、

  1. 入学者数が定員を超えないようにする。
  2. 入学者数よりも多い正規合格者数をまず減少させる。(この時点で入学者数が定員を超えないようにするため)
  3. 最後は補欠合格の有無により微調整を加える
    ということになります。

となると補欠による繰り上げ合格が期待されますが、そもそも定員を大幅に超えるだけ合格者数を出すことができないということが背景にあるわけですから、極端に正規合格者数を減らした学部では補欠合格が増え、それ以外は例年通り、もしくは昨年よりも減少している所が多いのではないかと思います。

もちろん補欠合格はその大学の学部によって大きく変動しますから、一概には言えないことはあるでしょうが、少なくとも補欠合格だったからといって安易に喜ぶことができない受験生は多かったはずです。

総じて合格者数が減少していることは間違いありません。

合格者数減少から見える今後の流れ

さて先ほどから触れている主要私立大学の合格者数減少に関してですが、この2017年度入試に関しては最後のラインまで引き下げられた数字ではなく、あくまでも段階的に減少している途中経過のようなものです。

2018年度はこの基準がより一層引き下げられますから、この傾向は来年度も継続すると見ていいのではないでしょうか。
大学によっては根本的な定員を増加させることによって対処する大学・学部も出てきているようですが、全ての大学で次年度の入試で例年通りの合格者数を出すことは考えにくいです。(この逆を進んでいる大学もあります。後述します。)

昨今の少子化問題から、難関大学で合格者数を出しすぎていると感じている教育者も必ずいるはずで、この流れから合格者数を削減すべきだと考えている人・大学は一定数いるはずです。

例えば慶應義塾大学経済学部ではここ数年で以下のように定員を減少させています。

  • A方式
    500名(2013年まで)⇨480名(2014,2015年)⇨420名(2016年)
  • B方式
    250名(2013年まで)⇨240名(2014,2015年)⇨210名(2016年)

これはあくまでも具体例にすぎませんが、以上のような流れから次年度もこの傾向が踏襲されると考えることが自然かと思います。

今後の対策

さて以上の考察を踏まえて来年度受験を控える高校生・既卒生は何をやっていかないといけないのでしょうか?

自分の志望校を甘く見ない

何も悲観しすぎたり、志望校のランクを落とせと言っているわけではありません。

そうではなく、実際に「合格」の2文字を見るまでは、気をぬくことなく、粛々とやるべきことをこなせるようになるべきではないかと思うのです。

これに関しては、合格者数減少の流れから言えることではないかもしれませんが、毎年自分の志望校に対して舐めてかかって痛い目を見てしまう人が多すぎるように思うのです。

「大学入試は人生最後の平等な試験」なのです。それはすなわち、全国の高校生が死に物狂いで努力し、一部の人に与えられる特権を勝ち取るために必死なわけです。

手をぬくことなく最後まで努力し続ける姿勢がより必要となるでしょう。

志望校のレベルを1ランク上だと想定する。

慶早進学塾でも、例年であれば、早慶に合格できる学力をもった人がMARCHに、MARCHに合格できる人が関関同立や日東駒専になるというケースは複数生じました。

ここから察するに、例年よりも体感的に難易度が1ランク上昇しているように感じます。

この傾向が次年度も踏襲されるとするならば、自分の志望校レベルよりも1ランク上のレベルまで着手しておいてもいいのかもしれません。(ただし無理をして先を勉強しすぎたり、志望校で出題されるレベルを大きく逸脱した対策をするのは非常に危険です。あくまでも基礎から着実に学習を進めることを前提としてください。)

早くから受験対策を開始する。

やはりこれでしょうか。

例えば東大に合格するためには2年の時間を要するとよく言われます。

特に現役生の場合は、学校があって、部活があって、その中で必要な学習を行っていかないといけないですから、1年間という時間は実は非常に短いものとなります。(僕の体感では1年半あれば早慶や旧帝大レベルを十分狙える期間かと思います。しかし1年を切ってくると、最初の学力やその人のセンスに大部分が依存されるような状況となってしまい、確実性がかなり減少します。もちろん個人差はありますので、一概には言えないですが。)

大学受験は勝負となる日にちが明確に決まっています。

センター試験であれば、1月の第3週の土日。

慶應経済の一般入試であれば、2月13日。(僕の受けた時は2月17日だったような気がしますが笑)

国公立の前期試験であれば2月25日26日。

しかし試験日は定まっている一方で、受験勉強を開始するのは各人の自由となっているのが大学受験の良い所です。

決められた日に一定の結果を残したいのであれば、早くから勉強を開始するに越したことはないでしょう。

大学入試は複数の大学を受験することができるとは言え、1回大きく失敗し、浪人してしまうと次のチャンスは1年後となってしまいます。僕は2年浪人してるので言えますが、この1年は本当に大きなものですよ。

できるものであればやはり浪人はすべきではないです。

今からでも受験対策を開始しましょう。

おわりに

私立大学の合格者数削減、そして2020年のセンター試験廃止など、これから受験を迎える人にとっては、これまでの教育方針を見直す動きがいよいよ本格化する流れとなります。

総じて言えるのは、自分の目指したい所が見つかった人は早くから対策すべきだということでしょうか。

勝負の日が明確となっている以上、そこを目指して1日1日大事に過ごしていきましょう。

そして来年受験の人は、後悔しないように、今から全力で勉強に励んでください。応援しています。

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