僕は大学に入学後半年も経過しないうちに、個人事業主として小さいながら事業をスタートさせ、高校生、大学受験生をSkypeにて受験指導するという仕事を始めました。
そしてその仕事を始めた3年後、店舗を構える必要性を痛感し、当時岐阜に多くの生徒がいたために、そのまま岐阜に移住し(と同時に一時的に大学を休学し)、塾を構えました。そして同時期に個人事業主から法人に切り替えました。
なぜ僕が起業したのかについては、以下のリンク先から記事をご確認ください。
さて、実際に自分自身の手で学生のうちに起業し、色々経験する中で、お伝えできることがかなり増えてきたので、せっかくですし、学生起業のリアルをそのまま文字にしてみました。
今回はその中でも特に学生起業のメリットとデメリットに関してです。
Contents
学生起業のメリット
まずそもそも起業自体は物凄く大変です。今までは誰かがやってくれていた事を全て自分の責任でやらないといけない状況になります。
軽い気持ちで始めてしまうと痛い目に遭ってしまうというのが本当のところですが、それでも学生起業はそれだけを理由にやめてしまうには惜しいほどのメリットがあるのではないかと思っています。
まずはそのメリットを順番に説明していきましょう。
豊富な時間
学生、それも大学生は自由に使える時間がとにかく豊富にあります。
高校までは1週間のうち5日は夕方まで授業がびっしり入っていて、土曜にも授業がある学校も少なくありません。また授業だけではなく、部活をやっている人も多く、学校と部活だけでかなりの時間拘束されてしまうはずです。
また社会人も似たような状況下に置かれます。
一般的には平日朝早くから夕方まで仕事でしょうし、残業がある人も多くいます。
平日これだけ働いていたら、なかなか体力的に起業のことは考えられないでしょう。
一方で、大学生は少し状況が異なります。
まず大学の授業は平日にびっしり埋まっているわけではありません。大体平均1日に2〜3コマといったところでしょうか。そしてそもそも全ての授業をバカ真面目に出席する必要もなかったりします。
テストだけ取れれば問題のない授業であったり、レポートを確実にこなしていれば単位の取れる授業なども多いです。
また体育会系の部活に入っているのならともかく、サークルも毎日強制で行われるような所の方が少ないはずです。それに概してサークルの参加は本人の自由意志によるところが大きいです。
そして大学生は長期休暇が極端に長いです。
例えば僕の在籍している慶應義塾大学では、8月〜9月20日までは夏休みですし、2〜3月の2ヶ月は冬休みです。
これに冬休みも含めると、長期休暇だけでも4ヶ月ある上に、平日はそこまで忙しくない。そして土日には当然大学の授業はありません。
もちろん中には忙しい人もいるかもしれないでしょうし、理系だとこうは言ってられないかもしれないですが、一般的な大学生、それも文系の大学生はここまで時間が確保できるわけです。
これを有効活用しない手はないのではないでしょうか?
リスクがない
これも大きなメリットの一つです。
例えば社会人で結婚されている方の場合は、うまくいくかどうか不透明な事業のために、会社を捨ててまで起業するのはやはり生活のことを考えると非常に厳しいと言わざるを得ないでしょう。
そういう方はやはり会社員時代に得たスキルや人脈をもとに、ある程度この先の売り上げが計算できる場合であったり、また副業程度で始めた事業が順調に進んで、確実にキャッシュが手に入る状況を作ってから独立するケースが多いのではないかと思います。
一方で、大学生の場合は、まず基本的に養わないといけない家族がいません。本当にバイト代程度のお金さえあれば、資金についてあまり気にする必要もないのではないかと思います。
それと同時に、何よりも、一度二度失敗したとしても戻って来れる環境があります。
もし仮に事業がうまくまわらず、キャッシュが尽きてしまったとしても、そのまま一般的な大学生に戻って就活するという選択肢があるでしょうし、その起業して経営した実績や経験を買われ、他の会社に拾われることだってあるでしょう。
それもかなり良い待遇になる可能性だって十分考えられます。
これは他にはない、大学生最大のメリットの一つであるかもしれません。
これを生かす以外道はないよな、と僕は思います。
優秀な友人
小中高とかなり閉鎖的な空間での生活を余儀なくされるわけですが、大学は一転色々な人に出会うことのできるチャンスだと言えるでしょう。
特に難関大学に通えば、各分野で自分よりも優れた優秀な友人と知り合いになったり、友達になれることが非常に多くなります。そしてそのような優秀な仲間が自分自身のことを助けてくれたり、ビジネスのパートナーになったりすることだってあるわけです。
僕自身は結局大学で出会った友人と一緒にビジネスを行うという選択を取ることはなかったのですが、それでも慶應のおかげで得をしてきたということは大いにあります。
年齢
ビジネスに年齢はあまり関係ないと僕は思っているのですが(お客様に提供するサービスに年齢は関係がないためです。)、それでも若いということが得になることは多いです。
自分よりも年上の起業家の先輩方は、やはり普段から頑張っている若者のことを支援してあげたいと考えていることが非常に多いのではないかと得に最近感じます。これはかつてその方々が同じように若い時に色々な苦労があったからだと言えるのでしょうね。
そのような点から考えるとやっぱり若いというのは得なのかもしれません。
一方で例えば僕の場合ですが、年齢が足枷になったことも多々あります。
僕は学習塾を経営しているわけですが、顧客は高校生や中学生であると同時に、彼らの親も対象になります。
中学生、高校生相手には年齢が近いということで非常に親近感を持てるためプラスに働くことが多いですが、一方で親相手にはマイナスに働くことが多いです。
まあ自分で塾をやっておきながら思いますが、僕が親の立場なら、塾の塾長が現役大学生だったら、なんだこの塾は、頭大丈夫か?って思いますからねw
「信用」という面で、年齢や自分自身の肩書きがマイナスになることもやっぱりあります。
しかしそこはもうどうすることもできません。ならば生徒からの評判であったり、合格実績、満足度などでそれを覆していくしかないと思い、日々頑張っています。
要するに年齢はプラスにも働けばマイナスにも働きます。
しかしその特徴を正確に理解し、うまい売り出し方を考えていけば、「大学生」というのはこれ以上ない武器となるのかもしれません。
お金を使わない
先ほどの「リスクがない」の部分を一部内容が被りますが、大学生は社会人に比べて使うべきお金の金額が少ないです。
これをバーンレートが低いと言うのですが、これって特に創業初期のキャッシュが不足する時期には非常に有利に働きます。
社会人は、毎月の給料から生活費、家賃、光熱費、その他雑費などを負担しないといけないですし、ましてや結婚していたら、多くの出費がかさむことになります。
一方で、大学生が一ヶ月に使用する金額は大体10万円前後でしょうか?
アルバイトで手元に入ってくる金額の一つの目安がこのくらいの金額ですから、最初のうちはこれだけの金額を確保できていれば、他の費用をどんどん投資に回すことができます。
結果的に事業拡大のペースが早まるわけです。それと同時に初期のキャッシュを生み出せない状態が続いたとしても、普段使用する金額が小さいわけですから、辛抱強く自分の事業に没頭することができるのです。
これは非常に大きなメリットだと言えるでしょう。
以上をまとめると、このような感じです。
- 学生起業のメリット
・年齢
→捉え方次第ではあるが、好意的に思われることが多い。
・リスクがない。
・豊富に時間が存在し、事業に没頭することができる。
→捉え方次第ではあるが、好意的に思われることが多い。
・バーンレートが低い。
→倒産に陥りにくい。辛抱強く事業に没頭することのできる態勢を整えやすい。
これだけでも学生のうちに起業することのメリットが十分に伝わるのではないかと思います。
学生起業のデメリット
学生起業のメリットを考えた際に、同時に学生起業のデメリットはないのか、あるとしたらどの程度存在するのかについても考えておかなければなりません。
起業すること自体のデメリットというよりは、学生が起業することのデメリットの焦点を当ててみるとこのような感じになります。
社会経験の乏しさ
何をもって社会経験とするのかにもよりますが(起業することで得られる経験も社会経験ですし)、それでも一般的な会社に入れば習得できたであろう、ビジネスマナーや各種スキルなどを得られないというのはあります。
特に細かいマナーの面であったり、社会人としての一般常識はどうしてもその環境にいないと養われないのかなと、僕自身も思います。
しかしこれらを失う代わりに、起業することでしか得られない経験を取得できるわけですから、それらを天秤にかけた時にどちらを選択するのか、というその程度の問題です。
また同時に自分自身が足りないなと感じた時に自分の努力で埋め合わせることもできますから、そこまで大きな問題にはならないのではないかとも思います。
信用がない
学生起業のメリットの年齢の部分でも触れましたが、信用の欠如。これは大きな問題です。
僕が経験した中だけでも、以下の点でもう少し年齢が高ければなあと思ったことはこれくらいあります。
審査が通りにくい
例えば塾を開業するにあたって、テナントを事前に確保しないといけないわけですが、特に最初はテナント一件確保するだけでも審査が非常に長く、結構大変な思いをした記憶があります。
これはテナントだけではなく、資金調達だったり、各種手続きで間違いなく社会人より苦労することになるでしょう。まあ仕方ないことだと割り切っていますが、毎回ここに直面する度に大学を辞めたくなっていましたね笑
営業面での信用
僕は幸い年齢よりも年上に見られることが大半なので、常に苦労してきたわけではないですが、それでも塾長が大学生であることに抵抗のある親御さんは多かったですね。特にSkype時代や岐阜に来た初年度は非常に苦労しましたが、一方でここは結果を出し続けることを続けていれば、むしろ状況は好転します。
概してマイナスのイメージからスタートした時ほど、状況を打開し、好転させやすいものです。
年上の部下との接し方
これも結構難しい問題です。現状おかげさまで多くの社員やアルバイトの協力があって会社を経営することができていますが、特に社員や役員は全員僕より年上です。
ここの接し方には非常に神経を使います。社会人出身の起業家であれば、ここの部分はそれほど苦労しなくて済む部分かもしれません。
資金不足
当然ですが、よほど親がお金持ちとかでない限り、大学生は社会人よりも資金が少ないでしょう。
その分最初に投資できる金額が少なくなりますから、お金がある人の起業と最初に取るべき戦略が大きく変わることになります。
ここに関しては別記事にて詳細に取り上げたいと思っています。
人脈不足
社会人出身であれば、会社時代のツテであったり、かつての旧友からであったり、色々な面で仕事に必要な人脈を確保した状態で事業を開始することができるでしょう。
しかし大学生はそういったものが0の状態でスタートしないといけませんから、その分難易度は高まるのかなと感じます。適切な情報を得られる環境が不足しているというのが現状です。
また特に最初の段階だと、何か起業塾やセミナーに行くとなってもお金がかかってきますから、スタート時点での情報への投資が非常に難しいですね。
その結果、ネットワークビジネスや悪徳な情報商材ビジネスに走ってしまいがちです。もちろんこれらの全てが悪いわけではありませんし、この分野で真っ当に事業を行なっている人も多いですが、あまり世の中のためにならないようなビジネスに手を染めてしまっている学生が多いのもまた事実です。
こうならないためにも、最低限の正しい知識を得ると共に、「良質なサービスの提供の対価として金銭を受け取る」というビジネスの本質は必ず感覚レベルで理解しておきたいです。
以上、デメリットをまとめるとこのようになります。
学生起業のデメリット・社会経験の乏しさ
・信用の欠如
→公的な手続きや営業面で苦労するかもしれません。
・資金不足
・人脈不足
まとめ
ここまで学生起業の利点や悪い点について触れてきました。
いかがだったでしょうか?
これをどのように受け取るかは個人の裁量によるところだと思うのですが、個人的には「信用の不足」以外はそれほどデメリットにならないのではないか、という気がします。
確かに起業することはリスクを背負う行為ですし、得られるリターンが莫大になる可能性も秘めていれば、その一方で倒産などのリスクは常に付きまといます。
その一方で、学生起業、ないしは若い時の起業によるメリットは計り知れないものがあります。
例え失敗したとしても戻ってこれる環境があるのは大きいですよ。そのような恵まれた状況の中、挑戦することは素晴らしいことだと思いますし、他の人には得られない経験を早い段階で得ることができます。
そう考えたら、そもそも学生起業のデメリットってそんなに大きいものか?と思うわけです。一度失敗したらまた戻って来ればいい。莫大な借金を抱えることだけはないようにケアしながら、堅実な経営を意識すれば、リスクをかなり減らすことは可能です。
この先がどうなるかはわかりませんが、少なくとも現時点では、僕は大学に入学してすぐに起業して本当に良かったです。大変なことも多かったですし、苦労や不安は尽きないですが、それでも自分の成長を日に日に感じることができます。そして結果が出た時の喜びは日頃の努力と苦労なしには味わえないものだと思います。
(実はこれを書いているまさに今、生徒からの合格報告をもらったんですよ。今年度の成績な合格第一号だったこと、生徒の頑張り、親のお子さんに対する想いを考えれば、やっぱり何回味わっても素晴らしいものですね。)
「起業」という手段を使い、自分の限界に挑戦しながら、他者に貢献してみてはいかがですか?
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